Spotifyで聴けるクラシック音楽の個人的なオススメ ロシア後編

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あらすじ

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あらすじ
流行り病の影響で中学校がしばらく休校になってしまったうさぎ。せっかくなのでSpotifyでクラシック音楽を聴きまくろうと意気込むも、何を聴けばいいのか分からない。なので雪貴にオススメを教えてもらうことにした。

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Spotify
スウェーデンで創業された音楽配信サービス。洋楽やクラシック音楽のレパートリーが非常に豊富なことが特徴。無料でも利用できるが、月額約1000円の有料プランに加入することでストレスなく利用できる。とても便利。


本編

雪うさぎ アトリエ
Atelier (Joetsu, Niigata)
新潟県 上越市
Joetsu, Niigata, JAPAN
11 Mar 2020
うさぎ

ロシア後編ということで、引き続きグラズノフ以降のロシアの作曲家について教えてください。

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ロシア後編で紹介する主な作曲家
・グラズノフ
・ラフマニノフ
・スクリャービン
・ショスタコーヴィチ
・スヴィリードフ

雪貴

ロシア前編では確か、チャイコフスキーとロシア5人組の話をしていたところだったよね。

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ロシア前編の内容は、下記の記事をご参照ください。


グラズノフ
Alexander Glazunov


雪貴

そして、時代はロシア国民楽派の集大成とも言えるグラズノフに行き着く。グラズノフはロシア5人組の流れを汲みつつも、チャイコフスキーのように西欧的な楽曲構成法を取り入れていったんだ。


雪貴

個人的に一番わかりやすいのが交響曲第5番(Op.55)かな。明朗なテーマを持った明るい第1楽章、どこか不思議なスケルツォの第2楽章、夢の中のようになめらかで緩徐的な第3楽章、そして勇壮で迫力のあるフィナーレの第4楽章。

うさぎ

わたしは交響曲第7番「田園」(Op.77 "Pastoral")がお気に入りです! 序盤こそベートーヴェンのオマージュを感じますが、新緑の中を旅行しているような、風光明媚な情景が眼前に浮かぶようです。


雪貴

グラズノフの楽曲自体、演奏機会が少なすぎてどの曲が有名なのか判断が難しいけれど…… 交響曲第4番(Op.48)、交響曲第6番(Op.58)あたりも割と有名かな。まぁ細かいこと言わずに全部聴けばいいと思うよ

うさぎ

出ましたね、伝家の宝刀「全部聴け」。

雪貴

あと、グラズノフはお酒が大好きだったので、お酒にまつわるエピソードには事欠かないね。交響曲第8番(Op.83)を作る頃には深酒のために創造力が鈍り始めていた、なんて意見もある。

雪貴

だからね、逆にウォッカをたくさん飲んだ状態でグラズノフの交響曲第8番を聴くと、しらふでは感じられないようなこの曲の奥深さに触れることができるんだ。ちょっとした裏ワザだね、大人になったらやってみるといいよ。

うさぎ

中学生の前で何言ってるんですか。お酒って怖いなぁ……


うさぎ

あと、バレエの「四季」(The Seasons, Op.67)も聴いたことがある気がします。

雪貴

バレエだったら「ライモンダ」(Raymonda, Op.57)の方が有名かもね。どちらもグラズノフの音楽センスをじっくり味わえると思うよ。


うさぎ

グラズノフの隠れた魅力として、ピアノ曲も推しておきたいです。その卓越した音楽センスでコントロールされた滑らかな音の響き、まるで宝石の輝きのようです…… わたしは特にピアノソナタ第1番(Op.74)がお気に入りです。

雪貴

同年代の作曲家と対比すると「交響曲のグラズノフ、協奏曲のラフマニノフ、ピアノ曲のスクリャービン」とそれぞれの分野で称賛されることが多いけど、グラズノフは協奏曲でもピアノ曲でもその才能を大いに発揮しているんだよね。

うさぎ

こんなに才気あふれる作曲家なのに、全体的に演奏機会が少ないのは解せないです……

雪貴

わりと再評価が進んでいる作曲家だから、そのうちグラズノフブームみたいなのがくるといいね。


ラフマニノフ
Sergei Rachmaninoff


雪貴

グラズノフと同年代に活躍した作曲家も紹介しようか。ラフマニノフはピアノの名手としても名を馳せた作曲家だね。そのセンスを遺憾なく発揮したピアノ協奏曲が有名だけれど、交響曲などの管弦楽曲も評価が高いよ。


うさぎ

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(Op.18)は、一般的な知名度もかなり高いですよね。表現も分かりやすいので割と好みです。

雪貴

ピアノ協奏曲第2番には知名度で少し劣るけれど、交響曲第2番(Op.27)も評価が高いよね。少し長めで気難しいところはあるけれど、こちらも全体的に表現が分かりやすいと思う。

うさぎ

わたしは交響的舞曲(Symphonic Dances, Op.45)の特に第1楽章がカッコ良くて好きです。ヤルヴィ先生(パーヴォ・ヤルヴィ)の指揮によるアルバムがお気に入りです。刃物のように鋭い切れ味で、思わず鳥肌が立ちます。


雪貴

あとは、協奏曲や交響曲の陰に隠れがちだけれど、ピアノの名手らしくピアノ曲もいくつか残しているから、それも聴いてみるといいよ。


スクリャービン
Alexander Scriabin


雪貴

スクリャービンはラフマニノフと同世代で、モスクワ音楽院ではラフマニノフと共にピアノの名手として並び称された逸話があるよ。ピアノ曲が有名だけれど、交響曲や協奏曲なども数多く残しているね。


うさぎ

スクリャービンのピアノ協奏曲(Op.20)はオーケストラがピアノに静かに寄り添っている感じが好きです。あと、交響曲第2番(Op.29)も演奏会で聴いたことがあります、第5楽章の盛り上がりが分かりやすかったです。

うさぎ

わたしはむしろ管弦楽曲の方からスクリャービンを知ったので、ピアノ曲はさっぱり分からないんですよね。オススメのピアノソナタとかありませんか?

雪貴

全部聴けばいいと思うよ。スクリャービンはピアノソナタ以外にもピアノ向けの作品をたくさん作ったから、気長に親しんでみるのがいいと思うんだ。


ショスタコーヴィチ
Dmitri Shostakovich


雪貴

そして時代は20世紀に移り、ロシア帝国からソビエト連邦へと変革を遂げるわけだけど、ソビエト連邦時代に活躍した作曲家で最も有名なのはショスタコーヴィチだね。


雪貴

デビュー当初は「モーツァルトの再来」と絶賛されたショスタコーヴィチだけれど、モダンな雰囲気や題材が社会主義の理想とかけ離れているとされ、当時のスターリン体制から目をつけられる。いわゆるプラウダ批判だね。

うさぎ

1930年代のスターリン体制って、大粛清の時代ですよね。政敵をあれこれ難癖つけて片っ端から逮捕・処刑していったという……

雪貴

ショスタコーヴィチもその対象となり得たものの、その後に発表した交響曲第5番(Op.47)では、伝統的な形式を重んじたこともあってか一転して「社会主義的なテーマに沿った素晴らしい作品」と大絶賛されることとなる。

雪貴

特に第4楽章が象徴的だね。国外では「革命」なんてタイトルで呼ばれることもあるよ。この楽章が力強い曲調でなかったら、ショスタコーヴィチの運命は少し違ったかもしれないね。


雪貴

他には、第2次世界大戦でドイツに包囲されている最中の故郷レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に捧げられた交響曲第7番「レニングラード」(Op.60 "Leningrad")も有名だね。

うさぎ

ショスタコーヴィチ自身も、途中で疎開させられるまでは戦火のレニングラードに留まってこの曲を作っていたんですよね。第1楽章はまさにそういった状況を想起させられます。

雪貴

そして最後は勝利を思わせるような力強いフィナーレ。包囲下のレニングラードでこの曲の演奏を聴いた住民たちは、この輝かしいフィナーレを聴いてどれほど勇気づけられたことだろう。

雪貴

あとは交響曲第10番(Op.93)も一般的にはそこそこ有名だね。第2楽章が抑圧的なスターリン体制を表しているだとか、第3楽章で愛人の名前が出てくるだとか、そういう話題に事欠かない曲だよ。


うさぎ

わたし的には交響曲第11番「1905年」(Op.103, "The Year of 1905")と、交響曲第12番「1917年」(Op.112, "The Year of 1917")の2曲を推しておきたいです。

雪貴

どちらも実際に起こった歴史上の出来事をモチーフにした標題音楽だね。1905年は「血の日曜日事件」とロシア第1革命、1917年は2月革命と10月革命がそれぞれモチーフになっているね。

うさぎ

2曲とも楽曲自体はとても素晴らしいんですが、過去に起こった革命の様子を肯定的に描いたということで、資本主義の国々ではイデオロギー的な観点で未だに評価が低いんですよね。そのあたりちょっと納得できません。

雪貴

もっとも、ショスタコーヴィチ自身も体制の言いなりになってイヤイヤ書かされたというわけではなく、自国で実際に起こった歴史上の出来事を題材にして書いたっていうだけの単純な話なんだよね。

うさぎ

特にショスタコーヴィチは、レーニンのことを指導者として純粋に尊敬していて、レーニンを題材にした作品の構想を何十年も前から考えていたんですよね。そういうのを「体制に迎合」とか安易に書くのはよくないと思います。

雪貴

まぁ、体制に色々と目をつけられたり、板挟みになっている部分は多々あったんだけどね。それでも作曲者が本当は何を考えていたかなんて作曲者にしか分からない話だし、我々はおとなしく純粋に音楽そのものを楽しめばいいと思うよ。


雪貴

というわけで、全体的に気難しい曲が多いかもしれないけれど、ピアノ協奏曲第2番(Op.102)のように茶目っ気に溢れた曲も少なくない。それがショスタコーヴィチの才能の奥深さでもあり、「モーツァルトの再来」と称賛された所以でもある。


うさぎ

マイナーだと思った曲でも意外と演奏機会があるんですよね、交響曲第6番(Op.54)とか、交響曲第9番(Op.70)とか、交響曲第13番「バビ・ヤール」(Op.113 "Babi Yar")とか…… 結局どれが有名なんですか。

雪貴

とりあえず全部聴けばいいと思うよ。

うさぎ

さっきから「全部聴け」ばっかりのような気が……

雪貴

だってそれが一番手っ取り早いんだもの。とりあえず全部聴いてみて、好きそうなものがあったらリピートすればいいじゃない。有名かどうかで判断しないで、好きかどうかで判断した方がいいよ、それが万事の基本。


スヴィリードフ
Georgy Sviridov


雪貴

ショスタコーヴィチの流れを汲む作曲家として紹介しておきたいのがスヴィリードフ。数々の映画音楽の作曲を手掛けたこともあって、ロシアでは有名な作曲家だよ。


うさぎ

わたしは何曲か聴いたことがありますが、知らない人の方が多そうですよね。かく言うわたしも全然知りませんでしたし。

雪貴

それは無理もないかな。日本では組曲「吹雪」(The Snowstorm)が一番有名だと思うよ。元々は映画音楽に由来する組曲だよ。

うさぎ

「吹雪」の曲は、ウラジーミル・フェドセーエフ氏やアレクサンドル・ヴェデルニコフ氏の指揮で聴いたことがあります! まさに噛めば噛むほど味が出てくるスルメソングって感じで、素晴らしいですよね!

雪貴

あと有名なのは「時よ、前進!」(Time, Forward!)とかかな。こちらも映画音楽に由来する楽曲だね。


雪貴

そういえばストラヴィンスキーとかプロコフィエフとかも有名だけれど、今日は名前挙げてなかったね。

うさぎ

わたしはその2人の曲とはあまり仲が良くないので、今日はいいです……


指揮者の話

指揮者編
オススメの指揮者の話

うさぎ

フィンランド編と同様に、ロシアの指揮者の話もしましょうよ。

雪貴

ロシアの指揮者にはあまりアンテナ張れてないから、そこまで詳しい話できないけど大丈夫? 有名どころだったらベルもよく知っていると思うけど。

うさぎ

記事として成立するなら何でもいいです。あと、わたしの好きな指揮者を推せるのなら大歓迎です。

雪貴

お、おう…… 20世紀の指揮者としてはエフゲニー・ムラヴィンスキーがおそらく最も有名だけれど、それは別の機会に紹介するとして、今日は21世紀に活躍している2人の話をしようか。


ヴァレリー・ゲルギエフ
Valery Gergiev


雪貴

ソビエト連邦崩壊直前にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場の芸術監督に就任し、混迷の時代を乗り越えただけでなく、その地位を世界的に押し上げていったのがヴァレリー・ゲルギエフだね。

うさぎ

みんな大好きゲルギーですね! つまようじのような短い指揮棒で指揮をするのが特徴的です!


雪貴

ゲルギエフの凄みといえば、往年の巨匠を髣髴とさせるようなレパートリーの豊富さだね。ロシアの作品は勿論のこと、ソビエト連邦時代にはあまり演奏されることのなかったワーグナーやヴェルディの作品なども積極的に取り入れていったんだ。

雪貴

そして、緊密なスケジュールを難なくこなし、その莫大なレパートリーを最小限の時間効率で遺憾なく発揮する。これを当たり前にできる人はそういないと思うよ。

うさぎ

レパートリーの豊富さといえば、マリインスキー劇場は各劇場でほぼ日替わりで目まぐるしく演目を入れ替えながら公演を開催しているんですよね。オペラなりバレエなりクラシック音楽なり…… あれほんと凄いです。

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現在のマリインスキー劇場は、サンクトペテルブルクに2つの大劇場と1つの大コンサートホールを所有しており、それぞれで莫大なレパートリーの公演が開催されている。また、北オセチアのウラジカフカスや極東ウラジオストクにもそれぞれ別館があり、同様に公演が開催されている。


雪貴

で、ゲルギエフはレパートリーが豊富な反面、指揮スタイルは人によって評価が分かれるね。当たりハズレが大きいというか。どちらかといえば「オペラ的」かつ、昨今の指揮者と比べるとスタンダード寄りな解釈という印象かな。

うさぎ

わたしはゲルギーとマリ管(マリインスキー劇場管弦楽団)のコンビを生で聴いた時に、短期間の調整ながらも本番でピタリと合わせてくる凄みに触れたことがあるんですが、CDだとその部分はあまり伝わってこないんですよね……

雪貴

まぁでも、ロシア物のオペラとか予習したい時は「とりあえずゲルギエフ指揮のCD聴いておくか」みたいな安心感はあるんだよね。

うさぎ

それはありますね。謎の安心感があります。


テオドール・クルレンツィス
Teodor Currentzis


雪貴

そして今世界中で人気急上昇中なのが、ムジカエテルナを率いるテオドール・クルレンツィスだね。厳密にはギリシャ出身だけど、ロシア国籍を取得しているからここではロシアの指揮者として扱うよ。


雪貴

ちなみに、ムジカエテルナっていうのはクルレンツィスが2004年に創立した楽団のことだね。2011年からはロシアのペルミという都市にあるペルミ・オペラ・バレエ劇場の専属オーケストラでもあるよ。

雪貴

クルレンツィスとムジカエテルナの演奏は、表現が難しいんだけれど「原曲をとことん蒸留して、音楽としての純度を高めようとしている」イメージなんだよね。

うさぎ

難しいこと言いますね……

雪貴

だから、奇をてらおうとしているわけではない。結果的にかなり独特な演奏になるから、そう見えるかもしれないけど。

雪貴

だから、すごく正直に言うと初心者には勧めづらいね。スタンダード寄りの演奏ではないから、ここから入ると変な癖がついちゃう。

雪貴

逆に、ある程度知っている曲の場合は「そんな解釈があるのか、そんな演奏ができるのか」と度肝を抜かされる。それが世界中で話題になっている理由だね。

うさぎ

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とか、すごかったですもんね。ソリストのコパチンスカヤ氏も尖った演奏をするタイプなので、相乗効果でかなり独特な感じに仕上がっていて……

雪貴

ほんと、この演奏は聴くたびに感心したり爆笑したりするからやめられないね。原曲をよく知っていれば知っているほど、脳内麻薬がドバドバと出てくるのを感じるよ。

うさぎ

若者向けのロックンロールって感じですよね。今後の活躍が実に楽しみですし、後を追う世代が出てくるのかどうかもすごく興味深いです。


雪貴

とまぁ、今日はこんな感じかな。どうだった?

うさぎ

ロシア5人組とか、中学校の音楽の授業で名前が出てきた時は全然イメージが湧きませんでしたが、こうやってじっくり曲を聴きながら説明を受けるとそれぞれイメージがつきやすいですね。

雪貴

もちろん、今日名前を挙げていない作曲家もたくさんいるから、徐々に手を伸ばしていくといいと思うよ。


うさぎ

さて、尺が少し余ったようなのでソビエト連邦時代に流行した歌でも流しましょうか! 日本では某戦車アニメの影響もあり「カチューシャ」が有名ですが、他にも「聖なる戦い」や……

雪貴

残念、もう尺がないので今回はここまで。

うさぎ

ひーん……


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自主的なPR記事なので、この記事に関してSpotifyからの金銭の授受はありません。(念のため)