この記事の内容は、うさぎの主観がメインとなります。そのため、一般的な解釈や作曲者の意図とは必ずしも合致しません。ご理解いただける方のみお読みください。
導入
というわけで池袋の東京芸術劇場に来ました!
今日は都響(東京都交響楽団)の演奏会に来たんだよね。
※前日の第1002回定期演奏会Cと同じ内容です。
都響と縁の深いヤクブ・フルシャ氏が久々に戻ってきました! しかもチェコの楽曲を引き下げて。
関連リンク
ヤクブ・フルシャ - WikipediaフルシャはN響(NHK交響楽団)とか他のオーケストラの出番でたびたび来日してたけど、都響に戻ってくるのは7年ぶりだってね。
餅は餅屋ではないですが、やはりチェコ出身の作曲家の楽曲は本場チェコの風をよく知る指揮者に振ってもらうのが一番ですからね。フルシャ氏もその道結構長いですし。
東京芸術劇場
感想
終演後
というわけで感想合戦です。
1曲目
ベドルジハ・スメタナ:
歌劇「リブシェ」序曲
スメタナ生誕200周年、ということで1曲目はスメタナのオペラ「リブシェ」序曲でした。
この冒頭のファンファーレは、国家式典などでたびたび使われているよ。つまりは有名な曲。
今回はあまり予習をしてこなかったので、わたしはほぼ初めて聴きますけどね……
金管のきらびやかで祝祭的な雰囲気はもちろんですが、ひたすらに穏やかでのびやかな曲ですね! 穏やかさで言えば「ホヴァーンシチナ」前奏曲とかが好きですが、あれと同じような爽やかな風を感じます。
なんとなく分かる。純粋に「綺麗な曲」だよね。メロディーもシンプルだし。
最後に少しだけ慌ただしい雰囲気が入りますが、オペラの序曲なのでそのくらいがちょうどよいのではという感。
2曲目
レオシュ・ヤナーチェク:
歌劇「利口な女狐の物語」大組曲 (フルシャ編曲)
関連リンク
利口な女狐の物語 - Wikipedia2曲目はヤナーチェクのオペラ「利口な女狐の物語」から、オーケストラ曲を中心に抜粋したフルシャ編曲の組曲だね。
第1幕の音楽で作った「ターリヒ版」「マッケラス版」と、オーケストラの楽曲を全体から集めた「イーレク版」が組曲として有名で、今回の「フルシャ版」は結果としてそれらを合体させつついくつかの曲も加えた「大組曲」とのこと…… なるほど、わからん。
反復する部分などはうまく削ぎ落とし、95分のオペラを30分に凝縮した、とパンフレットには書いてあるね。
実際に聴いてみると「本当にオーケストラからこんな音が出ているのか?」と思わせるような響きがいくつもあって不思議な曲ですね。弦楽器がまるで電子音を出したかと思えば、今度は打楽器のようになっていたり。
ヤナーチェクあるある。
そして、パンフレットには丁寧に「これはこういうシーン」というのが書いてあったんですが、「わかりやすくない」音色が多いので、昼のシーンなのか夜のシーンなのかというところすらうまく受容ができませんでした。
これについては慣れというより人を選ぶところもあるかなって思う。もちろん、元となる作品に精通してさえいれば分かるんだろうけど。
音楽的にはめちゃくちゃ面白かったんですが、わたし的には流れている曲についていくのに精一杯でした。それもコンサートの一興と言われると、まぁそれはそうなんですが。
3曲目
アントニン・ドヴォルザーク:
交響曲第3番
3曲目はドヴォルザークの交響曲第3番。スメタナの指揮によって初演された曲だよ。出版は死後だけど。
「スメタナ生誕200周年」にあやかったのか何なのか、なんつーマイナーな曲を…… と言いつつ、むしろ今日はこの曲を聴きに来たんですが。
ちなみに都響がこの曲を演奏するのは「初めて」だそう。(団員のTwitter(X)より引用)
まず第1楽章ですが、この楽章は主題のメロディーがとても分かりやすい上に親しみやすいです。明るくてどこか牧歌的な、緑色の山々を吹き抜ける風のような爽快感、とにかく個人的に大好きです。
ドヴォルザークの前期の交響曲はあまり耳に慣れないメロディーもあるけど、この曲は聴いた瞬間に「あぁ、この曲か」と分かる感じがするのもいいよね。
第2楽章は、ドヴォルザークおなじみの「寝かせる気のない緩徐楽章」。
いや、寝るなよ。
どこか情熱的で轟くような雰囲気ってことですよ。しかし、この曲の場合はメロディーがあっちこっちに移り変わるというか、うまく輪郭がなぞれないです…… 地に足がついていないとでもいいますか。
まぁ、第1楽章が分かりやすすぎるからね…… 演奏時間が長いから、というのもあるかも。
そして第3楽章は、第1楽章と同じ調(変ホ長調)に戻ってフィナーレ。
この曲は交響曲なのにスケルツォが無いですが、この楽章はどことなく諧謔的な雰囲気も感じますよね。
ドヴォルザークがこの後に作った交響曲のスケルツォはだいたい格好いいので、楽章として存在しないのはどこか勿体ないような気もしますが…… 交響曲第4番の第3楽章とかも大好きですよ。
楽章的には、調が同じということもあってどことなく第1楽章を髣髴とさせるよね。
どことなくふわっとした主題ですが、テンポが速いこともあってコンパクトに最後まで突っ走っていくので、あっという間に曲が終わってしまうという感があります。第1楽章の終わり方が重かったのと正反対といいますか。
ちなみに、第3楽章が始まるとともに前の席の人がヘドバンを始めたので、曲の理解度は90%OFFセールになりました。
池袋に来ると毎回何かしら起きるよね、君。
というわけで、不運な事故もありましたが今日も良かったです!
お客さんも大満足で、恒例の一般参賀もあったね。
一般参賀
終演後、オーケストラのメンバーが退場しても拍手が鳴りやまず、指揮者だけ再び舞台上に戻ってくること。都響の演奏会では割とよくある現象。
一般参賀
というわけで今日はどうだった?
あんまり予習してなかったんですが、それ以前にあまりにも勉強不足で楽曲の吸収効率が悪かったです。特にヤナーチェク、あれショスタコさんより難しいんじゃないですか?
個性的な作風だからね。まぁ、生の曲に触れてみてそういう感想を持って、あらためて色々聴いてみる機会ができるのはいいことなんじゃないかな。
チェコの作曲家といえばスメタナやドヴォルザークあたりが有名ですが、ヤナーチェク以外にも色々な作曲家がいるんですよね。表面だけ知っているつもりでも、まだまだ勉強のしどころは多いですね……
現地行くか、現地。その方が手っ取り早く勉強できる。
おもむろに人の夏休みカレンダーを覗かないでください…… でも、チェコはまだ行ったことないので早く行って「我が祖国」の聖地巡礼してみたいですね。
都響スペシャル (06/29)
2024年06月29日(土) 19:00開演
東京芸術劇場
指揮:ヤクブ・フルシャ (Jakub Hrůša)
東京都交響楽団
スメタナ:歌劇「リブシェ」序曲
ヤナーチェク:歌劇「利口な女狐の物語」大組曲
ドヴォルザーク:交響曲第3番