導入
おじゃまします。年明けですね、今年もよろしくお願いします。お年玉ください。
ないよ。今年もよろしくね。ところで今日は何の用事?
新年早々、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの内容が良かったので、記事を書くために感想を聞きにました。ユキさんはもちろん見ましたよね?
ニューイヤーコンサート
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が毎年1月1日にオーストリアのウィーン楽友協会大ホールで開催しているコンサートのこと。チケットの入手難度と価格はどちらも高く、世界一のプラチナチケットとも呼ばれる。その一方で全世界に配信もしているので、誰でも気軽に楽しめるという側面も持つ。NHKでは例年1月1日19:00頃から生放送される。
もちろん見たよ。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでシュトラウス家のワルツやポルカを楽しむのは元旦の恒例行事だからね。
シュトラウス家
ワルツやポルカの作曲家として19世紀のウィーンで絶大な人気を誇ったファミリー。特に有名なのがヨハン・シュトラウス2世で、ヨハン含め以下の4人が主要人物。
ヨハン・シュトラウス(父)
ヨハン・シュトラウス2世
ヨーゼフ・シュトラウス(弟)
エドゥアルト・シュトラウス(弟)
ちなみに、ドイツを中心に活躍したリヒャルト・シュトラウスも交響曲や交響詩を多数残している有名作曲家だが、こちらはウィーンで活躍したシュトラウス家とは関係がない。
「どうしてウィーンフィルのニューイヤーコンサートではシュトラウス家ゆかりの楽曲が多いのか?」のあたりは2021年の記事でも軽く触れているので、ご参考までに。
さて、2023年のコンサートについても、5日後くらいには既にSpotifyで聴ける状態になっていたね。
あいかわらず仕事が早いですね。海外には正月休みという概念は無いんですか? 中学生のわたしなんて、未だに冬休み中だというのに……
まぁ、三箇日のんびり休む国って実はそんなに無いんだよね。欧米は1月1日だけ休んで2日からは普通に仕事してるイメージ。
感想
というわけで前置きが長くなりましたが、感想タイムです。
あ、先に言っておきますが、まともな解説については日本ヨハン・シュトラウス協会のものを読むことをオススメします。わたしもユキさんも自由なことしか言いませんし。
出たな、いつもの丸投げ芸。
今年の指揮者はウェルザメさんですか。
変な略し方するなよ。2011年と2013年にも登壇したフランツ・ウェルザー=メストだね。
まだ若い印象ありましたが、もう還暦過ぎてるんですね。顔もだいぶおじいちゃんっぽくなってしまって……
作品番号まで載せると非常に見づらくなるので、シュトラウス家の人はファーストネームと続柄だけ載せてます。あと、曲名の日本語訳についてはNHKの訳に準じています。
なんと、前半はすべてニューイヤーコンサート初登場の楽曲。そして後半も一部を除いて初登場の曲ばかり。ウェルザー=メストもこんな思い切ったことをするんだね。
個人的には「英雄賛歌」のラストの高揚感というか浮揚感が素晴らしかったです。初めて聴くような曲でもこういうのを感じられるのは良いですね!
後半プログラム
フランツ・フォン・スッペ:喜歌劇「イザベラ」序曲
ヨーゼフ(弟):ワルツ「愛の真珠」op.39
ヨーゼフ(弟):ポルカ・フランセーズ「アンゲリカ・ポルカ」op.123
エドゥアルト(弟):ポルカ・シュネル「さあ行くぞ!」op.73
ヨーゼフ(弟):ポルカ・フランセーズ「上機嫌」op.281
ヨーゼフ(弟):ポルカ・シュネル「いつまでも永遠に」op.193
ヨーゼフ(弟):ワルツ「まひわ」op.114
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世:バレエ「エクセルシオール」より「鐘のポルカとギャロップ」
ヨーゼフ(弟):オーケストラのための幻想曲「アレグロ・ファンタスティック」Anh.26b
ヨーゼフ(弟):ワルツ「水彩画」op.258
そして後半も最後の1曲を除いてすべてニューイヤーコンサート初登場という攻めっぷり。さらに怒涛のヨーゼフ祭り、なんと兄のヨハン(2世)の曲は1曲もなし。
ヨーゼフは天才です、異論は認めません。ようやく世界がヨーゼフの才能に気付いてしまいましたか……
当時のウィーンの人ですらとっくに気付いていたわけだが。とはいえ、この選曲バランスは相当思い切った判断だね。
最初の「イザベラ」序曲はカスタネットが気持ちのいい曲でした。なんでスペイン風ってなるとみんなすぐカスタネット使うんです? あと、このあたりの時代ってスペインがモチーフな曲も多いですよね。
19世紀になると勢いに陰りが出てきたとはいえ、スペイン帝国といえば大航海時代を代表する列強国家だからね。
「太陽の沈まない国」とも称されるほど世界中に植民地を持っていたんですよね。ヨーロッパを近代化するゲームやヴィクトリアを3するゲームで出てくるのでよく知ってます。
うん、中学生がそんな物騒なゲームやらないの。というか後者は何するゲームなんだよ……
中盤の「上機嫌」には合唱がついてましたね。おなじみのウィーン少年合唱団だけでなく、ウィーン少女合唱団っていうのもできたんですね。ポリコレ圧力的なものを感じる……
まぁ、女性がオーケストラ団員になれない時代もあったから、そういうのと比べたらいい方なんじゃないかな。
そして「まひわ」はピヨピヨ楽器の出てくる楽しい曲でした。ところで「まひわ」って何ですか?
スズメ目アトリ科の黄色い小鳥のことみたいだね。
関連リンク
マヒワ - Wikipedia漢字で書くと「真鶸」ですか…… イワシ(鰯)の鳥版みたいな感じですかね?
漢字遊びか何かかな……? 鶸色というのも古くから親しまれているよ。近縁のカナリアほど鮮やかな黄色ではないけれど。
あとは「鐘のポルカとギャロップ」も明るい雰囲気で素晴らしいですし、対照的に「アレグロ・ファンタスティック」は重々しくて物凄くカッコイイですね! やはりヨーゼフは天才です。
前者の方はシュトラウスじゃなくてヘルメスベルガーさんの作品だけどね。
当日も、最初はすっかりヨーゼフ・シュトラウスの作品だと思ってました。ややこしいですね。
それはそれとして、全体を通してニューイヤーコンサート初登場の曲ばかりという割には盛り上がる場面も多く、今年のプログラムは大成功と言っていいのではないでしょうか?
これだけ思い切ったことをして、それでしっかり盛り上げたんだから、ウェルザー=メストも大したことをやってのけたよね。ここ十数年では間違いなく上位に入る高評価のニューイヤーコンサートだったと思うよ。
アンコール
ヨハン(2世):ポルカ・シュネル「山賊のギャロップ」op.378
ヨハン(2世):ワルツ「美しく青きドナウ」op.314
ヨハン(父):「ラデツキー行進曲」op.228
「山賊のギャロップ」の後は、指揮者の挨拶を挟んでから毎年定番の2曲。「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」。
定番の「ラデツキー行進曲」でパーンパーンと拍手をすると「新しい年が来た希望の年だ」って気分になりますね! 今年もちゃんとやってくれて安心しました!
スマトラ島沖地震の直後の2005年とか、過去に「ラデツキー行進曲」をやらなかったこともあるからね。今年もウクライナ危機の状況悪化が続いている影響でどうなるんだろうとは言われたけど、それでも演奏してくれて個人的には嬉しいよ。
規模の大小こそありますが、いわゆる「戦争」というものは世界のどこかで常に起こっていますからね。ウクライナでは2014年から既に武力衝突が始まっていましたし、世界を見ればシリア内戦とかは2011年から未だに続いています。
あまり言いすぎると燃えるから、そのあたりで。
すみません……
ともかく、より平和に近づく1年になるといいな、というのは今年も変わらず思った次第です。
ところで、2024年の指揮者も発表されていたね。クリスティアン・ティーレマン。
例年の習わしとして、ニューイヤーコンサートは開催直後に次の年の指揮者が発表される。
なるほど、わたしのよく知らない人ですね。
いや、2019年のニューイヤーコンサートも指揮してるからね?
そうでしたっけ、たしかに言われてみれば「天体の音楽」とかやってたような気が…… 内容であまりピンとこなかったので、すみません。
まぁ、ベルは確かにドイツ周辺とか興味なさそうだもんね。有名どころだと思うけど。
クラシックオタクな人にニワカ扱いされるのは別にどうでもいいですけどね。コンサートの内容が面白ければ何でもいいです。
まぁ、凝った内容にしようとしたところで、今年ほど趣向を凝らした内容にするのは難しい気もするけど。
確かに「全曲が初登場! しかも大半は弟エドゥアルトの作品!」くらい振り切らないと度肝は抜けませんね。というか、2023年のプログラムが攻めすぎなんですよ。ファンとしては大変ありがたい話ですけど。
ともあれ、来年もまたニューイヤーコンサートをのんびり楽しめるといいですね。
例の感染症との「戦争」もまだまだ続いているし、より世界が平和に近づく1年になるといいね。
前半プログラム
エドゥアルト(弟):ポルカ・シュネル「誰と踊ろう?」op.251
ヨーゼフ(弟):ワルツ「英雄賛歌」op.87
ヨハン(2世):「『ジプシー男爵』のカドリーユ」op.422
カール・ミヒャエル・ツィーラー:ワルツ「心地よい夜に」
ヨハン(2世):ポルカ・シュネル「元気に行こう!」op.386