ロウヴァリ君が2020年春に日本に来る予定だった話
というわけでロウヴァリ君が2020年春に日本に来るらしいので宣伝させてください!
お、おう、唐突だね…… ロウヴァリといえば、フィンランド出身の若手指揮者サントゥ=マティアス・ロウヴァリのことだよね?
そうです。タンペレフィルハーモニー管弦楽団(フィンランド)の首席指揮者を務めるほか、2017年からはエーテボリ交響楽団(スウェーデン)の首席指揮者としても活躍中のロウヴァリ君ですよ!
エーテボリ交響楽団
スウェーデンを代表する老舗オーケストラ。ヨーテボリやイェーテボリと表記されることもある。過去の首席指揮者には巨匠ネーメ・ヤルヴィや期待の新星グスターボ・ドゥダメルなど大御所が名を連ねる。英語表記は「Gothenburg Symphony Orchestra」。
で、2020年春の「東芝グランドコンサート2020」では、そのエーテボリ交響楽団と一緒にロウヴァリ君が日本に来るみたいです!
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東芝グランドコンサート 公式ウェブサイト……というはずだったのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響で、エーテボリ交響楽団の2020年春の来日公演は全てキャンセルとなりました。(2020年2月26日追記)
公式ウェブサイトより引用:2月28日(金)から3月10日(火)まで開催予定の「東芝グランドコンサート2020 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団」来日公演につきまして、2020年2月26日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部での首相の要請に従い、感染拡大防止の観点から公演を中止することを決定致しました。
楽団のメンバーは既に日本に向かっていたという噂を聞いたけれど、突然の決定とはいえ疫病が相手だから正直どうしようもないよね…… 3月のチャイコフスキー交響楽団や4月のムジカエテルナの来日公演も、正直厳しそう。
ひーん、今回のチャンスを逃したら次に日本でロウヴァリ君を見れる機会はいつになることやら……
それは別に、フィンランドやスウェーデンまで行けばいいと思うけど…… でも、様々な事情でそれができない人もいるわけだから、そういう人にとっては本当に残念な決定になってしまったね。
幻の公演となってしまったロウヴァリ君とエーテボリ交響楽団の演奏によるシベリウスの交響曲第2番は、幸いにもSpotifyで聴くことができます。今はこれを聴いて耐え忍ぶしかないですね……
私の行きつけのブログでもロウヴァリとエーテボリ交響楽団のおすすめ動画を紹介していたので、是非そちらもご参照ください。
ちなみに地元フィンランドのニュースによると、2023年を目安にして日程の再調整を目指している動きがあるようなので、そちらもご注目ください。(2020年3月28日追記)
この記事によると、ロウヴァリ君自身も2021年はタンペレ・フィルハーモニー管弦楽団、2022年はロンドンのフィルハーモニア管弦楽団とそれぞれ来日する予定があるようなので、実に楽しみです!
以下はアーカイブとして、中止になった公演の紹介文をそのまま載せておきます。
東芝グランドコンサートといえば、2018年は同じくフィンランド出身のサカリ・オラモ率いるBBC交響楽団(イギリス)だったよね。心なしか北欧率が高い気がする。
イギリスでブレイク中のサカリ・オラモ氏やサロネン先生を始め、フィンランド出身の指揮者は世界のクラシック音楽界でかなり存在感を強めていますからね! フィンランドびいきのわたしまで誇らしくなってきます!
エストニア出身のヤルヴィ親子、ラトビア出身のマリス・ヤンソンスやアンドリス・ネルソンスも含めて、あのへん出身の指揮者は確かに昨今の音楽界ではイケイケだよね。
※追記:
マリス・ヤンソンス氏は2019年11月30日に76歳で亡くなられました。ご冥福をお祈り申し上げます。
ちなみに先に書いておきますと、東芝グランドコンサート2020の日程と曲目は以下のとおりで、全部で2パターンを合計8公演の予定だそうです。日程前半のヴァイオリンのソリストは「真田丸」の三浦文彰さんですね。
東芝グランドコンサート2020 日程
2020年2月28日(金) 川崎 (A)
2020年2月29日(土) 兵庫 (A)
2020年3月1日(日) 名古屋 (A)
2020年3月2日(月) 金沢 (A)
2020年3月5日(木) 福岡 (A)
2020年3月6日(金) 広島 (B)
2020年3月8日(日) 東京 (B)
2020年3月10日(火) 仙台 (B)
公演パターンA (日程前半)
指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ (Santtu-Matias Rouvali)
ヴァイオリン:三浦文彰
エーテボリ交響楽団 (Gothenburg Symphony Orchestra)
ステンハンマル:交響的序曲「エクセルシオール!(天の高みに昇らん)」
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
シベリウス:交響曲第2番
公演パターンB (日程後半)
指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ (Santtu-Matias Rouvali)
ピアノ:児玉麻里
エーテボリ交響楽団 (Gothenburg Symphony Orchestra)
R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
公演日程や内容は変更となる場合があります。必ず主催者の発表内容を事前ご確認ください。
関連リンク
東芝グランドコンサート 公式ウェブサイトロウヴァリはフィンランド出身だからシベリウスはお手のものなんだろうけど、ショスタコーヴィチがどうなるかちょっと謎だね…… 気になる。
あとはスウェーデン出身の作曲家ステーンハンマル(ステンハンマル)の曲も、エーテボリ交響楽団にとっては「お国もの」ですね。
なので期待値高めなのは日程前半の北欧っぽいプログラムで、日程後半のプログラムは期待値未知数って感じかなぁ。逆に楽しみとも言えるけど。
※中止になった公演の紹介はここまでです。(2020年2月26日追記)
ロウヴァリ君の紹介
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
Santtu-Matias Rouvali
というわけで公演の紹介は終わったので、残りのスペースはロウヴァリ君の紹介に充てますね。
……えっ、私もそれに付き合わされるの?
ロウヴァリ君は、なんといってもその指揮スタイルが特徴的ですよね。まるで魔法使いのように指揮棒をくるくると振り回し、踊っているかのように指揮台の上で振る舞う姿が美しいです。
観客によっては「タコ踊り」とか酷評する人もいるみたいだけど、私は好きだな。指揮棒さばきも合わせて、見ていて飽きないよね。
ロウヴァリ君の指揮っぷりについては、下の動画がわかりやすいので見てみてください。スメタナの交響詩「我が祖国」の「モルダウ」です。終曲の瞬間に指揮棒がくるくるっと1回転半するところが大好きです。
上の動画は360°動画なので、マウスでドラッグしたりスマホを傾けたりすると視点が移動します。
ロウヴァリの指揮スタイルは、正統派というよりは感情を爆発させるタイプだよね。
ノリが良くて曲の印象が分かりやすいので、わたしたちみたいな若者向けのタイプですよね。
逆に正統派好きなおじいちゃん達からは不評なタイプだよね。好みは分かれると思う。
同じ感情を爆発させるタイプでも、例えばヤルヴィ先生(パーヴォ・ヤルヴィ)とかは緩急で引き締めるタイプですが、ロウヴァリ君はぐっと溜めてからエネルギーを開放するようなタイプかなと思います。演歌みたいな感じ。
溜めてから解放するというよりは、溜めるところはぐっとエネルギーを溜めて、走るべきところでグンと力強く走るようなイメージだな、私的には。ジェットコースターみたいな感じ。
この記事を見ている人にも試しに色々聴いてもらいたいんですけど、何か他にサンプルみたいなのありませんか?
エーテボリ交響楽団の公式YouTubeのダイジェストだけど、シベリウスの「クレルヴォ交響曲」とか、どう?
ひえっ、レア曲の「クレルヴォ交響曲」じゃないですか。いいなぁ……
あとは、ムソルグスキー「展覧会の絵」の「キエフの大門」とかもあるよ。
あの、公式YouTubeだとダイジェストが多いので、他のがいいです…… Spotifyとかありませんか?
あるよ。
エーテボリ交響楽団の演奏で、シベリウスの交響曲第1番と交響詩「エン・サガ」。
素晴らしいですね。
というかロウヴァリ君、「エン・サガ」大好きですよね、2017年のタンペレフィル来日公演の時も演奏してくれましたし……
レア曲ってほどではないと思うけど、でも全体から見たらかなりマイナーな曲だよね。いい曲だとは思うから、どんどん広めていって欲しいな。
2017年のロウヴァリ君
ちなみにロウヴァリが前回来日した2017年のタンペレフィルハーモニー管弦楽団の来日公演で、私たちが聴いた演目は以下のとおり。
タンペレフィルハーモニー管弦楽団 来日公演
2017年5月19日(金)
東京文化会館 大ホール
指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ (Santtu-Matias Rouvali)
ピアノ:田部京子
タンペレフィルハーモニー管弦楽団 (Tampere Philharmonic Orchestra)
シベリウス:交響詩「フィンランディア」
グリーグ:ピアノ協奏曲
シベリウス:交響曲第2番
<アンコール>
シベリウス:「カレリア」組曲より第3曲「行進曲風に」
シベリウス:「悲しきワルツ」
タンペレフィルハーモニー管弦楽団 来日公演
2017年5月23日(火)
東京文化会館 大ホール
指揮:サントゥ=マティアス・ロウヴァリ (Santtu-Matias Rouvali)
ヴァイオリン:堀米ゆず子
タンペレフィルハーモニー管弦楽団 (Tampere Philharmonic Orchestra)
シベリウス:交響詩「エン・サガ」 op.9
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
シベリウス:交響曲第5番
<アンコール>
シベリウス:交響詩「フィンランディア」
シベリウス:「悲しきワルツ」
タンペレフィルはそこまで有名ではなかったので客入りはあまりよくありませんでしたが、ロウヴァリ君の圧巻のパフォーマンスに観客も大満足の公演でしたよね。いいものを観れてよかったです。
フィンランド独立100周年記念のイベントと題して日本に来てくれたんだよね。2日目のアンコールでもう一回「フィンランディア」を持ってきてくれるとは思わなかったから、嬉しくて私もちょっと泣いちゃったな。
わたしも、フィンランド人の指揮者とフィンランドのオーケストラによる「フィンランディア」を生で聴いたのはこの時が初めてだったので、もうずっと感動しっぱなしでした。
それにロウヴァリ君、サイン会の時に「Kiitos!」(フィンランド語で「ありがとう」)って言ったら「Oho! Kiitos!」って返してくれたんですよ。あの日からわたしはロウヴァリ君の虜です。はぁ、好き……
ちょろい。
オタク、マジでちょろいわ。
ロウヴァリ君のサイン(中央)
ちなみにタンペレは、フィンランドの首都ヘルシンキから列車で2時間くらいのところにある都市です。ムーミン美術館があることでも有名ですね。わたしも旅の途中で寄ったことがあります。
関連リンク
タンペレ - Wikipediaタンペレフィルハーモニー管弦楽団の本拠地であるタンペレホール(Tampere-talo)は、なんとムーミン美術館と同じ建物です。なので、ムーミン美術館に行く人はコンサートの予定も調べてみるといいかもしれません。
タンペレホール (Tampere-talo)
ムーミン美術館入口
関連リンク
ムーミン美術館 公式ウェブサイト誰に向かって布教しているんだよ……
でもタンペレホール面白かったですよ。ロウヴァリ君の顔出し看板があったり、グッズショップに売っているトランプのジョーカーがロウヴァリ君だったりして爆笑しました。
笑いのツボが分からない……
ロウヴァリ君の顔出し看板
タンペレフィルハーモニー管弦楽団のメンバーのトランプ
というわけでロウヴァリ君の今後が楽しみです! これを機に日本での知名度をガンガン上げてもらいたいです!
個人的には都響(東京都交響楽団)あたりと組んでほしいな。ヤクブ・フルシャとタイプが似ている気がするし、同じくフィンランド出身の期待の若手クラウス・マケラにも声かけてるしね。
(←日本に来てくれるなら何でもいい)
※本記事は2019年12月8日に公開した記事に、後日発表された公演中止の情報を追記したものです。