この記事の内容は、うさぎの主観がメインとなります。そのため、一般的な解釈や作曲者の意図とは必ずしも合致しません。ご理解いただける方のみお読みください。
導入
というわけで、ウラジオストクのマリインスキー劇場沿海州別館に来ました! 今この劇場では「国際極東祭」という音楽フェスティバルが開催されているんですよ!
国際極東祭 (Международный Дальневосточный фестиваль «МАРИИНСКИЙ»)
極東ロシアのウラジオストクにあるマリインスキー劇場沿海州別館で、夏季に開催される音楽フェスティバル。主なジャンルはクラシック音楽、オペラ、バレエ。アジアの周辺各国や、マリインスキー劇場本館(サンクトペテルブルク)などからゲストが招かれる。直訳すると「マリインスキー国際極東祭」になるが、当サイトでは「国際極東祭」として統一する。
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第4回国際極東祭 紹介ページで、今日の夜のプログラムはこんな感じです。
そして演奏はサンクトペテルブルク所属のマリインスキー劇場管弦楽団(マリ管)です! このお祭りの期間中は、サンクトペテルブルクに行かなくても毎日のようにこのオーケストラを楽しめるのが最高ですね。
マリインスキー劇場沿海州別館では、普段の公演はウラジオストク所属のオーケストラが担当している。(「Mariinsky Theatre Orchestra of the Primorsky Stage」などと表記される)
サンクトペテルブルク所属のマリインスキー劇場管弦楽団とは厳密には別物なので、公演を選ぶ際は注意が必要。
マリインスキー劇場 沿海州別館
あれ、オペラなのに舞台上にステージセットが残されたまま…… はっ、もしかして演奏会形式ってやつですか?
演奏会形式
声楽と管弦楽の演奏だけで、舞台装置や演技を省略したオペラ公演のこと。純粋に音楽を楽しみたい人向けで、あまり初心者向けではない。
ひーん、プログラム見直したら「concert performance」とバッチリ書かれていました。つまり演奏会形式ってことですね…… レア演目なので何も気にせずチケット取っちゃいましたが、完全に見落としてました。
まあ、舞台装置がないだけで、音楽聴く分には困らないからいいんですけどね。元々の目的はゲルギーとマリ管の演奏を堪能することですし、英語の字幕もありますし、そもそもレア演目ですし……
感想
というわけで感想パートです。
歌劇
ピョートル・チャイコフスキー:
「チャロデイカ(魔女)」(演奏会形式)
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チャロデイカ - Wikipedia原題は「Чародейка(チャロデイカ)」、英訳すると「The Enchantress」、そして邦題は「魔女」ですか。なんかややこしいですね。あらすじはWikipediaあたりを参照してください。
ざっくりとしたあらすじ
「魔女」と呼ばれるほどに魅力的な女性と公爵、そして公爵の息子の三角関係のお話。終盤、公爵夫人の嫉妬により「魔女」は毒殺されてしまうが、夫人はそのことで息子に愛想を尽かされてしまう。その後、公爵は息子が「魔女」を隠しているのだと主張し、嫉妬心から息子を殺してしまう。「魔女」が亡くなり、息子も亡くなり、「息子殺し」として夫人にも見限られ、残された公爵は呆然となる。
公爵が最後どうしようもなくなる幕引きですが、どうしてそうなったのかというと、それは妻が余計なことをしたからで…… いや、そもそも公爵が「魔女」のところに入り浸っていたのが原因でもありますけど。
それぞれの行動による因果が巡りに巡って、やるせない結末に…… オペラってこういう救いのない題材多いですよね。現代のテレビドラマのようなものだと思っているので、そこは別にいいんですが。
ぱっと見た印象ですけど、この題目はもうちょっとメジャーでもいいんじゃないかと思いました。そのへんのイタリアオペラよりもいい作品だと思いますが…… やっぱり時間が長いと敬遠されるんでしょうか?
それにしても、相変わらずチャイコフスキーのオーケストレーションは素晴らしいですね。その魅力的なメロディーもさることながら、楽器から出た音が楽しそうに跳ね回っているのがたまりません。これぞ本物の「音楽」ですね。
そして何より、演奏会形式だったので音が鮮明というか、音の迫力がダイレクトに伝わってくるようなイメージでした。男声合唱に押しつぶされるような感覚すら感じました。こういう面は演奏会形式の長所ですよね!
でも、例えば日本のNHKホールだとこうはいかない気がするので、単にホール側の問題かなあ…… 本当にホールひとつくらい日本に持って帰りたいです。
あと今回に限らないんですが、演奏会形式とはいえもっと小道具とか衣装とかあってもいいと思うんですけどね…… コップとかナイフみたいな、そういうのくらいは。
それでも今回は、演者が縦横無尽に歩き回っていたり、「魔女」が倒れたまま動かなかったり、お芝居要素はそこそこ多めだったので、話もわかりやすかった気がしました。
でも、基本的にステージの最前列でお芝居をしているので、ギャラリーからだと手前側は殆ど何も見えませんでした。ギャラリーといっても一応最前列の席なんですけどね。1階からだとちゃんと見えるのかな……
ギャラリーだと、何も気にせずに乗り出せる席の方が相対的に見通しよさそうな気がします。そういえば、ミラノのスカラ座の桟敷席とかはそんな感じだったような。正面から離れてもいいから後ろに誰もいない席がいいな……
カーテンコール
終演後
さっきも言ったんですが、ちょっと手前が見づらい席で、手すりも高かったので地味に疲れました…… わたしがロシアの大人と比べてミニマムサイズというのもあるんですが、ここはちょっと細かいところで疲れる劇場です。
座席前の通路が広いとか、全体的にスペースに余裕があるのはプラス要素なんですけどね。音響もそこそこ良いですし、設備も近代的で素晴らしい劇場なのは間違いないんですが、なんだかちょっと評価に困る感じです。
あとロシアのおばさんの観劇マナー…… あれ本当に何なんですかね。日本でも歌舞伎とか行けばあんな感じな気がしますけど。わたしは年をとってもあんな風にはならないようにしないと……
それはそれとして舞台袖のVIP席みたいなところに、昼の公演に出ていた特徴的な髪型のコンサートマスターっぽい人と、三浦文彰さんっぽい人が仲良く座って鑑賞してたのが見えました。どう見ても関係者席ですし、ご本人でしょうか? あくまでわたしの主観による想像ですが。
金角湾大橋は霧の中
時刻は20時過ぎです。今日もそこそこの長丁場でしたが、16時開演だったので比較的明るい時間に外に出られました。
ロシアの標準時は全体的に早めに設定されていて、一年中サマータイムのようなものなので、特に夏の間は日没が遅く感じられる。例えばウラジオストクは日本標準時子午線(東経135度)よりも西に位置するが、時差は日本よりも1時間早い。(UTC+10)
終演直後はバス停も混んでいそうなので、近くのお店にお菓子や飲み物の買い出しに行ってこようと思います。わたしの宿の近所にはスーパーマーケットがないので、宿に戻る前に調達しておきたいんですよね。
ちょっとお買い物をしている間にすっかり暗くなってしまいました。霧もさっきより濃くなっているような…… 終演直後のタイミングを外したので、バス停が若干空いてるのがありがたいです。
バス停
ミニバス
と思ったんですが、先に来たバスが満員気味だったので、1本見送ってから次のバスに乗りました。急ぎの旅でもないですしね。
あ、どの番号のバスに乗ればいい、とかはYandex(ヤンデックス)の地図アプリを見ると分かりやすいですよ。ロシア国内は西に行っても東に行ってもYandexがオススメです。日本で言うところのYahoo! JAPANですね。
関連リンク
Yandex.Mapsミニバスで金角湾大橋を渡る
Приморская сцена Мариинского театра / Primorsky Stage of the Mariinsky Theatre
マリインスキー劇場 沿海州別館
- 住所
- г. Владивосток, ул. Фастовская, д. 20 /
20 Fastovskaya Street, Vladivostok, RUSSIA
- アクセス
- 各種路線バス・ミニバスなど
- リンク
- 公式ウェブサイト
第4回国際極東祭 (8/4・夜)
2019年08月04日(日) 16:00開演
マリインスキー劇場 沿海州別館 大ホール
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ (Valery Gergiev)
マリインスキー劇場管弦楽団 (Mariinsky Theatre Orchestra)
チャイコフスキー:歌劇「チャロデイカ(魔女)」(演奏会形式)