第4回国際極東祭 マリインスキー劇場管弦楽団 演奏会 雑感

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この記事の内容は、うさぎの主観がメインとなります。そのため、一般的な解釈や作曲者の意図とは必ずしも合致しません。ご理解いただける方のみお読みください。

導入

マリインスキー劇場 沿海州別館
Приморская сцена Мариинского театра
ロシア ウラジオストク
Vladivostok, RUSSIA
04 Aug 2019
うさぎ

というわけで、ウラジオストクのマリインスキー劇場沿海州別館に来ました! 今この劇場では「国際極東祭」という音楽フェスティバルが開催されているんですよ!

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国際極東祭 (Международный Дальневосточный фестиваль «МАРИИНСКИЙ»)
極東ロシアのウラジオストクにあるマリインスキー劇場沿海州別館で、夏季に開催される音楽フェスティバル。主なジャンルはクラシック音楽、オペラ、バレエ。アジアの周辺各国や、マリインスキー劇場本館(サンクトペテルブルク)などからゲストが招かれる。直訳すると「マリインスキー国際極東祭」になるが、当サイトでは「国際極東祭」として統一する。


うさぎ

で、今日の昼のプログラムはこんな感じです。

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第4回国際極東祭 (8/4・昼)
2019年08月04日(日) 12:00開演
マリインスキー劇場 沿海州別館 大ホール
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ (Valery Gergiev)
マリインスキー劇場管弦楽団 (Mariinsky Theatre Orchestra)

ピアノ:安天旭 (An Tianxu)
ヴァイオリン:三浦文彰
バリトン:キム・ギフン (Gihoon Kim)

ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ラフマニノフ:「パガニーニの主題による狂詩曲」
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」より「Prince Yeletsky's aria」
ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」より「Renato's aria」
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」

うさぎ

昨日の公演に続き、今日も指揮者はマリインスキー劇場の芸術監督であるゲルギー(ヴァレリー・ゲルギエフ)です! ソリストもアジア各国から終結した精鋭揃いですよ!

うさぎ

そして今日も演奏はサンクトペテルブルク所属のマリインスキー劇場管弦楽団です! このお祭りの期間中は、サンクトペテルブルクに行かなくても毎日のようにこのオーケストラを楽しめるのが最高ですね。

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マリインスキー劇場沿海州別館では、普段の公演はウラジオストク所属のオーケストラが担当している。(「Mariinsky Theatre Orchestra of the Primorsky Stage」などと表記される)
サンクトペテルブルク所属のマリインスキー劇場管弦楽団とは厳密には別物なので、公演を選ぶ際は注意が必要。


うさぎ

それにしても、出演者だけでなくプログラムのボリュームも充実してますね。このクオリティにも関わらず、そこそこ良い席でも数千円くらいで楽しめるこのお祭りは神ですね…… あ、交通費や宿泊費は別勘定でお願いします

うさぎ

チケットは事前にインターネットで購入して、印刷して持って行きました。買い方の解説はしませんが、英語が読めれば大丈夫だと思いますよ。地元民専用の割引とかもあったので、額面が安いからって迂闊にそれを選ばないようにだけ注意が必要ですね

うさぎ

余談ですが今回、出演者は事前にアナウンスされていましたが、プログラムの内容については数日前までアナウンスされていませんでした。なのでチケットを取る際は、そのへんのギャンブル要素も考慮しないとですね。

バス停方面から劇場を見る

金角湾大橋

うさぎ

おお、今日は天気が悪いので金角湾大橋が雲の中ですね……

マリインスキー劇場 沿海州別館

プログラム売り場

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ちなみに公式のアナウンスでは12時開演だったので、それに間に合うように来たんですが、実際に座席に入れるようになったのはそのさらに20分後だったという…… ここの劇場はそこんとこルーズなんですかね?


感想

うさぎ

というわけで感想パートです。

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1曲目
モーリス・ラヴェル:
「亡き王女のためのパヴァーヌ」

うさぎ

1曲目は「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ラヴェルの代表作でもある有名な曲です。

うさぎ

こうしてじっくり聴くと、それぞれの楽器を活かしたオーケストレーションが興味深いですね。「管弦楽の魔術師」とも呼ばれたラヴェルの才能を全身でじっくりと感じられます。


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2曲目
セルゲイ・ラフマニノフ:
「パガニーニの主題による狂詩曲」

うさぎ

2曲目はラフマニノフの作曲した「パガニーニの主題による狂詩曲」で、実質的には変奏曲形式のピアノ協奏曲です。あまり詳しくない曲なので詳細は割愛しますね。変奏曲形式なだけあって、色んな種類の音がする不思議な曲でした。

うさぎ

ピアノは中国の安天旭という方でした。情熱的というよりは、今日はどちらかというと精密機械のように音を叩き出していたのが印象的でした。


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3曲目
ジャン・シベリウス:
ヴァイオリン協奏曲

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3曲目はわたしもよく知るシベリウスのヴァイオリン協奏曲です。そして、ソリストも日本の誇るイケメン奏者、「真田丸」でもおなじみの三浦文彰さんです! こうして異国の地で見るのも味わい深いですね!

うさぎ

第1楽章、オーケストラの音は少し控えめで、特に低音パートはどこに行っちゃったのかという感じがしました。ヴァイオリンの音色はしなやかで、全体でロシアの移りゆく天気のような少し陰鬱とした空気を感じるようです。

うさぎ

第2楽章になると、急に低音の迫力が増しました。でもイメージとしては、大地に安心して羽を休める鷹のような憧憬でした。第1楽章の「移りゆく天気の中を飛ぶ鷹」との対比のようですね。

うさぎ

第3楽章はロシアの祭りで舞うサムライみたいな謎のイメージが見えました。キレよく日本刀を振るサムライ、特に高音の切れ味が凄まじいです。そして最後はロシアがサムライの色に染まる憧憬が見えて、えっと何ですかこれは

うさぎ

もちろん、サムライというのは三浦さんのことです。このウラジオストクという異国の地で、自らの研鑽した技を臆することなく堂々と披露するその姿、同じ国を故郷とする者として大変に心を打たれました。はぁ、好き……


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4曲目
ピョートル・チャイコフスキー:
歌劇「スペードの女王」より「Prince Yeletsky's aria」

うさぎ

休憩を挟んで1曲目はチャイコフスキーのオペラ「スペードの女王」からの曲ですね。わたしあまり詳しくないので「どのアリアだよ」とはツッコまないでください、たぶん有名なやつですよ。これは次の曲に関しても同様です。

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詳しくないうさぎが悪いのではなく、詳しく書いてくれない公式側がよくないんです。(責任転嫁)

うさぎ

しかし、この曲は原曲がロシア語ということもあり、観客の大歓声がすごかったです。日本だとそういうシーンにあまり出会えないので、こればかりは欧米の人たちがちょっとだけ羨ましいです。


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5曲目
ジュゼッペ・ヴェルディ:
歌劇「仮面舞踏会」より「Renato's aria」

うさぎ

そして次は「トゥナィ・ヤヤヤヤヤ・ティア!」じゃない方の「仮面舞踏会」ですね。あっ、クラシック音楽の記事なのでハチャトゥリアンとかニールセンじゃない方って言った方がいいですかね?

うさぎ

2曲とも、バリトンは韓国のキム・ギフンという方でした。声楽の良し悪しについてはあまり詳しくないので割愛させてください…… 割とステージから近い席だったので、歌声はとてもよく聞こえました。

うさぎ

それにしても、日中韓の一流音楽家が、こうしてロシアを代表する指揮者やオーケストラとともに躍動する、実に国際的で極東らしいフェスティバルなのを感じます! そういう国境や言語の壁を感じないお祭りは大好きです!


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6曲目
モデスト・ムソルグスキー:
組曲「展覧会の絵」

うさぎ

そして今日のメインは「展覧会の絵」です。トランペットが最初に奏でる11拍子の旋律は、多くの人が聴いたことあると思います。ちなみにムソルグスキーが残した原曲はピアノ版で、しかも生前は世に出されなかったんですよね。

うさぎ

で、その後様々なバージョンが派生して、現在ではフランスのラヴェルが編曲したオーケストラ版が一般的になっていますね。今日の演奏もそのラヴェル版です。

うさぎ

しかし何というか、憧憬というよりはどこか内面的なものを感じますね。それも、もやっとした雰囲気というか…… そもそもこの曲の表している「展覧会」って何でしたっけ? 絵描きの心境とはちょっと違いますし……

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補足:ここでの「展覧会」とは、ムソルグスキーの友人だった画家の死後に開かれた遺作展のこと。そこでムソルグスキーが見た10枚の絵の印象が、そのまま各曲のモチーフとなっている。そのため、プロムナードによる空気感の統一こそあるが、それぞれの曲が小品のような性格を持ち、また友人の死を悼むムソルグスキーの心境もどこか滲んでいるような組曲となっている。

うさぎ

とか難しいことを考えているうちに、最終曲の「キエフの大門」まで来ちゃいました。この曲はなんとなく、今までの陰鬱とした雰囲気を払拭してくれるような明るさと壮大さがありますよね。まさしく青空です。


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アンコール
??????? (詳細後述)

うさぎ

で、その後はアンコールの曲だったんですが、わたしのよく知らない曲でした。ファゴットと弦楽による消え入るような雰囲気の曲……

うさぎ

かと思いきや、そこから徐々に世界が広がっていき、最終的には壮大なスケールのフィナーレとなる……

うさぎ

壮大な響きの中で、トライアングルの音色がキラキラしていて…… まるで宇宙が、星々の誕生が見えるようです。そう、これは果てしなく広がる宇宙の音楽


うさぎ

でも曲名が分からず、仕方なくユキさんに「7拍子の変拍子が特徴的な曲でした」って報告したら、「たぶんストラヴィンスキーの『火の鳥』かな」って返ってきました。なるほど、言われてみれば聴いたことあるような気がしてきました。

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最初からストラヴィンスキーって予告されていたら、先入観が邪魔してあんな感想は言わなかったかもしれません。しかしあの時、わたしには確かに宇宙が見えました。これこそゲルギーが巨匠と呼ばれる所以なのかもしれませんね。

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アンコール
イーゴリ・ストラヴィンスキー:
バレエ「火の鳥」より「子守歌」「終曲」


終演後 一旦外へ出る

うさぎ

というわけで、時間的にもたっぷり堪能しました。昨日と今日でゲルギーの世界観にどっぷりハマれて大満足です。この後にある夕方の公演も楽しみすぎます。

うさぎ

もしかして今日の裏テーマは「フランス」だったりしますかね? 「展覧会の絵」の編曲もラヴェルですし、アンコールもストラヴィンスキー…… いやー、わたしでなければ見逃しちゃいますね。えっそんなことないです?

うさぎ

それはそれとして、夕方の公演まで時間があるので一旦外に出ないとなんですが、ちょっと気になる場所があったので寄ってみます。

劇場内のショップ

うさぎ

そう、劇場内のショップです! こういうショップって、せっかく劇場やホールに来てもなかなかゆっくり見れる機会がないんですよね。おみやげの調達も兼ねて、ゆっくり見させてもらいますよ!

うさぎ

えーと、音楽祭の帽子、音楽祭のTシャツ、プログラムにボールペンにその他もろもろ…… 見事に音楽祭のイメージカラー(?)のオレンジで統一されていますね。あまり可愛くないような…… というか需要あるのかな?


  • Приморская сцена Мариинского театра / Primorsky Stage of the Mariinsky Theatre

    マリインスキー劇場 沿海州別館

    住所
    г. Владивосток, ул. Фастовская, д. 20 /
    20 Fastovskaya Street, Vladivostok, RUSSIA
    アクセス
    各種路線バス・ミニバスなど
    リンク
    公式ウェブサイト