N響 2月公演 (2021年池袋) 雑感

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この記事の内容は、うさぎの主観がメインとなります。そのため、一般的な解釈や作曲者の意図とは必ずしも合致しません。ご理解いただける方のみお読みください。

導入

東京芸術劇場
Tokyo Metropolitan Theatre
東京都 豊島区
Toshima, Tokyo, JAPAN
12 Feb 2021
うさぎ

というわけで池袋に来ました!

雪貴

今日はN響(NHK交響楽団)の演奏会に来たんだよね。

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NHK交響楽団2月公演
2021年02月12日(金) 18:00開演
東京芸術劇場 大ホール
指揮:熊倉優
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト (Isabelle Faust)

スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より3つの舞曲
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ドヴォルザーク:交響曲第6番

雪貴

元々は定期公演Cとして開催する予定だったプログラムだけれど、時勢的な理由で単発の演奏会扱いになったんだよね。

うさぎ

当初は首席指揮者のヤルヴィ先生(パーヴォ・ヤルヴィ)が指揮予定だったので、ずっと楽しみにしていたプログラムなんですが…… でも曲目まで変わらなくてよかったです。

雪貴

代打となった熊倉さんはまだ20代だけれど、パーヴォさんのアシスタントを務めたりN響と何度も共演したりしているし、私は期待しているよ。日本人指揮者が重宝されるこの時勢でどんどん活躍していけると素晴らしいね。


グローバルリングと東京芸術劇場

うさぎ

それにしても、今まで池袋に来る時は昼間の公演が多かったので、夜に来るのはなんか新鮮です! 夜のグローバルリングもかっこいいですね!

うさぎ

あれ、そういえばN響が池袋の東京芸術劇場で演奏するのって珍しいですね。いつもだいたい渋谷のNHKホールか赤坂のサントリーホールなのに。

雪貴

NHKホールは工事のためしばらく休館になるんだよね。だから去年から定期公演Cに相当するプログラムは池袋でやっているし、9月以降は定期公演Aに相当するプログラムもすべて池袋開催になるみたいだね。

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NHKホールの工事
NHKホールの工事のため、N響の定期的な公演は2021年3月~2022年6月まではサントリーホールと東京芸術劇場で開催される。2022年9月以降の定期公演Aと定期公演Cは従来どおりNHKホールで開催される予定。

うさぎ

そうなんですね! NHKホールは音響の評判があまりよくありませんし、これを機にウィーン楽友協会コンセルトヘボウのような外観も音響も美しいホールに生まれ変わるといいですね! いっそフィラルモニ・ド・パリみたいなのでも……

雪貴

(ただの耐震工事と設備更新って書いてあったけど、楽しそうにしてるし黙っとこ……)

東京芸術劇場

ホール入口


感想

終演後

うさぎ

というわけで感想合戦です。

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1曲目
ベドルジハ・スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より3つの舞曲

雪貴

1曲目はスメタナのオペラ「売られた花嫁」より3つの舞曲。スメタナといえば連作交響詩「我が祖国」が最も有名だけれど、このオペラはそれよりも10年くらい前に作られたものだね。

うさぎ

なんか物騒なタイトルのオペラですよね。現代でやったら声の大きいフェミニズムな人たちに叩かれますよ。

雪貴

いや、そこは表現の自由をだね…… 内容的にもそんな物騒な話じゃなくて、オペレッタみたいな感じで軽めのハッピーエンドみたいだし。


雪貴

話を戻して、このオペラは序曲も有名だけれど、今日やった舞曲もそこそこ有名だね。

うさぎ

全体を通してなんとなくスラヴ舞曲と同じ色を感じますね。そもそもそのあたりの舞曲から持ってきてるんですっけ?

雪貴

2つ目の舞曲とかはまさに「フリアント」だね。1,2, 1,2, 1,2, 1,2,3, 1,2,3, の特徴的な拍子。これは後半にやるドヴォルザークの交響曲第6番の第3楽章も同じ。

うさぎ

3つ目の舞曲は弦楽器の勢いの良さがいいですね! メロディーラインの遊ばせ方というか、音の操り方もなかなかクセになります、さすがはスメタナです!


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2曲目
カロル・シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番

雪貴

2曲目はシマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番

うさぎ

シマノフスキさんってポーランドの人ですよね。正直よく知らないんですが……

雪貴

20世紀初頭に活躍した作曲家だね。私の説明を聞くよりは多分Wikipediaでも読んだ方が早いと思う。


うさぎ

音楽的に好きかどうかはともかく、内容はとても興味深かったです。文学的とでも言いますか。

雪貴

お好きなように喋りなさいな。

うさぎ

冒頭は不思議な森に迷い込むところから始まります。薄暗くて、鳥の鳴き声が聞こえるようで……

うさぎ

しばらく進んでいくと、蝶のようにひらひらと舞う妖精さんが現れます。ヴァイオリンの音色に合わせて、ゆらゆらと。妖精さんに誘われて、森の奥へと入っていきます。

うさぎ

深みへと誘われていくと、魔物のような何かが襲ってきます。必死に応戦しつつ、安全なところまで逃げて、身を隠します。

うさぎ

しばらくすると、森の中で苔に埋もれた物体を見つけます。どことなく見覚えのある現代の乗り物、その腐食具合を見て悟ります。「なんてことだ、ここは未来の地球だったのか」……

うさぎ

その後のことはよく覚えていないんですが、クライマックスで妖精さんが武器となり、魔王的なやつを必殺技で倒して森の平和を取り戻したシーンは涙しました。

うさぎ

そして最後は、冒頭で迷い込んだあたりにまで戻ってきます。そして妖精さんと、不思議な世界とお別れ…… ふっと夢から覚めるように終曲。

雪貴

なんかこう…… 仮面ライダーセイバーとかの見過ぎじゃない? と思わなくもない。でも音の流れとしてはそんな印象を感じなくもないか。

うさぎ

いいじゃないですか、音楽をどう感じようが自由ですし、物語の結末はわたしが決めるんですよ。

うさぎ

という感じで、Spotifyで聴いてる時と違ってこうやって生で世界に入り込むと、色んな場面が見えるようで、創作意欲も掻き立てられるようでした! こういうのもいいですね!


うさぎ

ちなみにソリストアンコールの曲は以下のようです。貼り出されていなかったので、情報ソースはN響公式Twitterです。

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ソリストアンコール
ニコラ・マタイス:「ヴァイオリンのためのエアー集」より「前奏曲」「パッサージオ・ロット」「アンダメント・ヴェローチェ」

雪貴

20世紀の後に17世紀とは、痺れるね。

うさぎ

ぶっちゃけ、聴いた感じだと19世紀くらいだと思ってました。そのへん全然詳しくないので……


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3曲目
アントニン・ドヴォルザーク:交響曲第6番

うさぎ

休憩を挟んで3曲目はドヴォルザークの交響曲第6番です! わたしの大好きな曲です!

うさぎ

ドヴォルザークといえば交響曲第9番「新世界より」が最も有名ですが、交響曲第6番と交響曲第7番も激情的で、個人的には交響曲第4番も味わい深いですし、あと交響曲第2番とかも意外と……

雪貴

こら、オタク特有の早口やめなさい。

うさぎ

そのくらい楽しみだったんだから仕方ないじゃないですか。「新世界より」に比べたら番号が若くなるほど演奏機会が減っていきますし……

うさぎ

でも、始まってメロディーが聴こえてきた途端「ああ、この曲の生演奏は本当にこの世界に実在したんだ……」って涙が出てきました。生きててよかったです。

雪貴

そんなにか。

うさぎ

割といつもそうなんですが、みんなそんなものじゃないんですか?


うさぎ

この曲は特に憧憬的なものを描いた曲ではないので、今日は淡白な感想になりそうですが…… 特に第1楽章は牧歌的でぼっかぼっかしてますよね。

雪貴

風光明媚とまではいかなくても、牧歌的でぼっかぼっかしていることには同意。途中で若干裏返って暗めの雰囲気になる部分もあるけれど、終止ほのぼのした明るい曲調だよね。

うさぎ

で、第2楽章もドヴォルザークにしてはかなりおとなしめな明るく静かな緩徐楽章…… のびやかでいい曲ですよね。第1楽章の主題もどこか遠くで聴こえてくるようです。


うさぎ

とか言ってたら第3楽章でいきなり激しくなります。ある意味この曲の主役でもある部分ですね。

雪貴

「フリアント」の舞曲形式による情熱的なスケルツォ。でも、音量的にはMAXではなかったね。もっと激しいものだと思ってた。

うさぎ

それゆえ、内容の激しさがただただ伝わってきます。全体的な楽章構成自体も舞曲っぽいですよね、なんかハンガリー舞曲とかで見たことある構成してます。第何番かまではすぐ出てきませんが。

雪貴

激しく、速く、という主題に対して、止まってしまうかのようにのびやかな部分が入るのもとてもいいよね。そしてまた激しく速い主題に戻る、という対比が際立っている。


うさぎ

嵐のような激しい第3楽章が終わり、少しずつ太陽光が差してくるかのように明るくあたたかいメロディーが集まってきて、第4楽章が始まります。

うさぎ

ひらすら明るい第4楽章ですが、だんだんと暗さが混じってきて、クライマックス部分では主題が短調に裏返って一気に落としてくるのが、この曲の特徴的な部分でもありますよね。明るさ一辺倒ではないという。

うさぎ

でも一度そうして壊された後、少しずつまた明るい要素が集まり出して、また長調に戻って明るいフィナーレとなるのもいいですよね。最後の部分の加速がとても気持ちよかったです、N響っぽさを感じます。


うさぎ

そういえばこの曲、ブラームスの交響曲第2番との共通点が多いみたいなのをプログラムに書いてありましたよね。第3楽章に限っては、はっきりと差異が見られますが……

雪貴

ブラームスの交響曲第2番は「田園交響曲」とも言われるやつだね。牧歌的で仄かに青春の香りがするやつ。

うさぎ

それもそうだなーとは思いつつも、第4楽章とか今日じっくり聴いた感じだと、なんとなくチャイコフスキーの交響曲とも似てるのかなって思いました。一回落としてから勝利に持ち込むようなやつ。

雪貴

チャイコフスキーの交響曲第4番とか交響曲第5番とかの話かな? チャイコフスキーと似てるといえば、なんか去年10月に交響曲第7番聴いた時も同じようなこと言ってた気がするね。

うさぎ

管楽器の歌わせ方も、なんとなくチャイコフスキーっぽさを感じたんですよね。そう考えると、チャイコフスキーとドヴォルザークってなんとなく似てますよね。顔とか特に。

雪貴

少なくとも顔は関係ないと思うんだ。


うさぎ

ちなみに今日はハズレ席でした。しかも両隣。

雪貴

奇遇だね、私もだ。

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ハズレ席
当サイトでは、お行儀が悪かったり落ち着きがなかったりする観客が近くにいて演奏に集中できない席のことをハズレ席と呼んでいる。うさぎはなぜか池袋で非常によく当たる。S席だろうとA席だろうと容赦なく当たる。

うさぎ

わたしの場合、池袋だと統計的に見てもありえない高確率でハズレ席を引くので、やっぱり相性が悪いんですかね…… N響も代替会場を上野(東京文化会館)とかミューザ川崎とかにしてくれればいいのに。

雪貴

日頃の行いを良くして、功徳を積むしかないね。私としては渋谷より池袋の方が少しだけ近いから、近い分にはそれでいいかな。その理屈だと上野ならアトリエから歩いて行けるからもっといいんだけど。


エスカレーターを下る

雪貴

というわけで今日はどうだった?

うさぎ

去年はN響の演奏会に行けなかったので、コンサートマスターのマロさん(篠崎氏)とか久々に見た気がします。N響の人たちってかっこいいですよね。特に打楽器セクションの皆さんはわたしの憧れです!

雪貴

N響公式のTwitterアカウントは奏者や指揮者の投稿も積極的にリツイートしてるから、そういう意味でも身近に感じるのかもね。

うさぎ

日曜日に大河ドラマ見た後にEテレつけるとだいたい会えるのも大きいかもしれませんね。N響つよい。


うさぎ

あと、指揮者の熊倉さんもいい感じでした! これからも期待です! 今日は中欧プログラムでしたが、しっかりこなしていましたね。ヤルヴィ先生みたいに北欧やロシア方面のレパートリーも増やしてもらえれば最高ですね!

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「東欧プログラム」と言ってる人が多いですが、ポーランドもチェコも狭義では「中欧」ですよ。ちなみにヤルヴィ先生の故郷エストニアは「北欧」です。繰り返します、エストニアは「北欧」です。大事なことなので2回言いました。

うさぎ

指揮者といえば、ヤルヴィ先生にはいつお会いできるのか…… 去年もブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」とか楽しみだったのに流れちゃいましたし、ヤルヴィ先生の指揮で色んな曲が聴けないのが寂しいです。

雪貴

入国制限の影響ですっかりご無沙汰だね。このまま契約満了になっちゃったら悲しいけど、そうしたらそうしたでヨーロッパまで聴きに行けばいいさ。

うさぎ

エストニアのパルヌ音楽祭とか行ってみたいですもんね。うーん、早く世界が平和にならないかなぁ。



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COVID-19の流行に伴う演出上の注意
演出上の都合のため、登場キャラクターはマスクやフェイスガードを着用していませんが、実際にはマスク着用などの感染症対策を十分に施したうえで訪問しています。