
この記事の内容は、うさぎの主観がメインとなります。そのため、一般的な解釈や作曲者の意図とは必ずしも合致しません。ご理解いただける方のみお読みください。

導入

というわけで上野の東京文化会館に来ました!

今日は都響(東京都交響楽団)の定期演奏会です。指揮者はマルク・ミンコフスキ氏ですね。

ミンコフスキ氏は、都響とは2018年のフェスタサマーミューザで「くるみ割り人形」全曲を演奏して以来の共演ですかね? その時の演奏がとてもよかったので、今日もとても楽しみです!



感想


というわけで感想合戦です。今日は1人での参加だったので、ユキさんのアトリエまで帰ってきました。

おかえり…… って早くない? まだ21時ちょうどなんだけど、もうコンサート終わったの?

後半の曲が終わったのが20時45分でした…… 短時間でしたが、なかなか爆発的なコンサートでしたよ。早く感想言いたくて、走って帰ってきちゃいました。

外、雨降ってるからずぶ濡れじゃん…… ほら、タオルあげるからちゃんと拭いてからね。


で、全体的にどうだった?

ミンコフスキ氏の指揮は爆発的で情熱的でした。全体的に速めのテンポで軽快に飛ばしていくんですが、必要なところではしっかりと重さを持たせたり、ドッカンドッカンと花火を打ち上げたり……

ヤルヴィ先生の緩急のかかった演奏スタイルもかなり情熱的ですが、ミンコフスキ氏はそれとはまったく別次元の爆発的なエネルギーを持った演奏スタイルって感じですかね。

私は前回聴いたのはちょうど1年前だったかな、アップテンポな感じのイメージはあったけれど。どっちかというと個性派な方だから、都響の演奏スタイルとも合う感じだよね。

そうなんですよ。特に盛り上がるところでは、右からも左からも襲い掛かってくるような感じでした。ノリノリになった時の都響は、ヤルヴィN響並みに鳴らしてきますからね。

お客さんも満足したみたいで、終演後も拍手が鳴りやまず、一般参賀もありましたよ!

一般参賀
終演後、オーケストラのメンバーが退場しても拍手が鳴りやまず、指揮者だけ再び舞台上に戻ってくること。都響の演奏会では割とよくある現象。

ミンコフスキ氏の一般参賀

へえ、よかったじゃん。私も今日は早く帰ってこれたから、「おそ割」で見てくればよかったかな。


以下、曲ごとの個別の感想ですが…… 今日の感想は若干ぐだぐだしているので、ご注意ください。

1曲目
シューマン:交響曲第4番 (1841年初稿版)

番号上は「第4番」だけど、シューマンにとって第2作目の交響曲として作られたのが、この交響曲第4番だね。

お嫁さんのクララ・シューマンの誕生日にプレゼントとして贈った、ってWikipediaには書いてありますね。

最初からプレゼント目的で作ったかどうかはともかくとして…… 聴衆の反応はあまり芳しくなく、後年に改訂するまでお蔵入りになっちゃったんだよね。

でも、今日の演奏は初稿版だったんだよね? Spotifyで軽く聴き比べてみた限りでは、初稿版は改訂版より軽快なイメージだったんだけど、実際どう?

どうと言われても…… 改訂版の生演奏を聴かないことには何とも判断しづいらいですが、確かに軽快そうなイメージは感じましたね。

あとは、ブラームスがこの曲の初稿版推しだったみたいですね。ブラームスが好きそうって感じの曲調をひしひしと感じました。

「ブラームスが好きそう」って、何その客観的っぽい主観は……

何て言えばいいんですかね、曲調が近いんですよ。古典的っていうか、ドヴォルザークの初期の交響曲みたいっていうか、つまりブラームスの交響曲とも近いっていうか。

ただ、わたしにシューマンは難しいです…… 曲はすごく覚えやすいんですが、そこから何が見えるのか、何を感じ取れるのか、といった対話が全くできません。

テーマの分かりやすい国民楽派ばっかり聴いてるから、単にドイツ・ロマン派が比較的分かりにくく感じてしまうってだけなのでは?

ぐうの音も出ないです。

で、誕生日プレゼントにするくらいだからハッピーな曲かと思いきや…… 第1楽章はいきなり暗い雰囲気から始まりました。曲調はそんなに暗くないのに、どうしてこんなに暗いんだってくらい雰囲気が暗かったです。

ですが、気が付いたら楽章の終盤では明るい曲調になっていました。「明」を引き立てるための「暗」だったんでしょうかね。

この傾向は第2楽章&第3楽章と第4楽章でも感じ取ることができました。「明」を引き立てるための「暗」、「動」を引き立てるための「静」、このへんは演出の参考になります。

というわけで、全体を見たら「暗」から「明」への比較的わかりやすい進行で、聴いている側もハッピーな気分になれる明るい曲でした!

……というのがわたしの感想ですが、大丈夫でしょうか?

まぁ、定番のパターンだね。ちなみに何か景色は見えた?

全然見えなかったです。交響曲に人生を投影しようとしても、わたしの13年の人生経験では難しいです。だからドイツ・ロマン派って難しいんですよ……

標題音楽好きにとっては、絶対音楽から表題を探そうとするのは難しいね。まぁ、それは私も同じなんだけどさ。

参考までに、改訂版のSpotifyリンクも載せておきます。

どっちかというと、改訂版の方が一般的なんだよね。


2曲目
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

「悲愴」というべきか、原語にならって「情熱的」というべきか…… とにかく、有名な曲だよね。表題は「死」だとか「人生」だとか言われているけれど……

前回エリアフ・インバル氏と都響の演奏でこの曲を聴いた時は、各楽章それぞれ「愛する人の死」「ピースの欠けた日々」「悲しみを振り切り人生を走る」「自らの人生の終わり」っていう表題を感じました。

で、今日は何が見えたのかな?

第1楽章「死と転生」、
第2楽章「新しい日常のワルツ」、
第3楽章「神々の天地創造」、
第4楽章「寒冷化そして絶滅」。

全く意味が分からない…… 日本語でおk。

「今日の感想はぐだぐだしてるので閲覧注意」と但し書きした理由がこれです。わたしにも意味が分かりませんが、音楽からは確かにそう見えたんですよ。

先に結論を言うと、1人の人生として描写するにはスケールの大きすぎる演奏でした。って感じですかね。

じゃあ、いつもみたいに物語調で展開してもらおうか。

まず第1楽章…… いきなり地獄の中にいるような雰囲気から始まりました。幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」のような印象、と言えばいいでしょうか。

主人公の中にある悩み、苦しみ、絶望、それが悪夢となって襲いかかってきます。生きている以上続く痛み、逃れられない人生の苦しみ、逃げることもできずにのたうちまわるしかありません……!

……地獄のような序奏が終わり、晴れた空のような澄み渡る主題が響きます。悪夢は悪夢、現実は現実。いつもと変わらない日常を過ごす主人公ですが……

次の瞬間、悪魔が舞い降りてきます。さっきの悪夢よりも何倍も濃い、身体を引き裂くような痛み、苦しみ、絶望……!

主人公は死んでしまったのだろうか…… そして再び晴れ渡る空のような明るい主題が戻ってきます。主人公は生きている? いや違う、生まれ変わっている! そう、主人公は新しく生まれ変わったのです!

地獄の中にも仏あり……! ありがとう神様……! そう言わんばかりの神々しいアーメン終止。

神々しいアーメン終止。

そのまま沈黙の後、アタッカのような状態で第2楽章に入ります。5/4拍子という変態テンポですが、今回は驚くほど自然なワルツのように聞こえました。まるでチャイコフスキーの交響曲第5番第3楽章のような雰囲気です。

……目に見える景色としては、転生後の人生をエンジョイしている主人公にしか見えませんでしたが。

だから「新しい日常のワルツ」ね、なるほど。

少し休憩を挟んで、第3楽章はスケルツォ的な行進曲ですよね。とめどなく連続で刻まれ続ける3連符は、まるで時を刻む時計の針音のようでした。

そして、オーケストラを奏でる指揮者のイメージが、そのまま世界を創造する神様のように見えました。いままで一人称視点だったのが、一気に神の視点へと移ります。

「神々の天地創造」ね、なるほど。

曲調は明るい行進曲調でも、やっていることはダイナミックでえげつないです。ノリノリで大地を揺るがす神様、まるで噴火のようなシンバル、地震のような大太鼓……!

轟くように鳴り響くオーケストラの裏側では、人々はどんな天災に見舞われているのでしょうか…… そう、人の人生なんてちっぽけなもので、すべては神様の手で書かれたおとぎ話のようなものなんですよ。

「人生は神の手によって書かれたおとぎ話である」…… アンデルセンだっけ?

そして、少し間を空けて第4楽章。主題が力強く奏でられると、急に寒くなってきました。まるで、地球が急速に寒冷化したかのような……

少し経って陽射しは戻りますが、再び最初の主題が戻ってくる頃にはもう元気がなく、最後には文明の灯が消えてしまいます。最後の、最後の瞬間まで、力強かった重低音が細々と響き…… そして消える。

「寒冷化そして絶滅」……


それにしても酷いポエムだった…… 物語全体としてはあまり面白くなかったけれど、描写の根拠はちゃんとあるし、的を射ていないとは一概には言えないのがなぁ。

ひーん、公演感想と題してポエムを載せるためのウェブサイトなんですから、そこは別にいいじゃないですか!

こらこら、開き直るな。

とにかく、1人の人生として描写するにはスケールの大きすぎる演奏でした。だから地獄とか転生とか神様とか、文明の興亡まで見えちゃったんでしょうね。

なるほどね…… 繊細な「悲愴」もいいけれど、そこまでダイナミックな「悲愴」も面白そうだね。

なので、ミンコフスキ氏と都響の奏でるチャイコフスキーをもっと聴いてみたいですね! 交響曲第4番あたりをドッカンドッカン大爆発させたらすごいことになるのでは?

まぁ、うん、要チェックだね。クルレンツィスほど尖りすぎないといいけれど。

クルレンツィス氏率いるムジカエテルナくらい尖っちゃうと、絶対音楽みたいな楽しみ方がメインになっちゃいますからね……

あ、ちなみに都響の新シーズンのラインナップは明日(10月8日)発表だってさ。

もうそんな時期なんですね、楽しみです!
東京都交響楽団 第888回定期演奏会A
2019年10月7日(月) 19:00
東京文化会館 大ホール
指揮:マルク・ミンコフスキ (Marc Minkowski)
シューマン:交響曲第4番 (1841年初稿版)
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」